上質なウイスキーを造るために必要な数多くのプロセスの中に、原料の麦芽を乾燥させるという工程がある。麦芽の発育を止めるためである。
最も伝統的な製法では、この乾燥工程の燃料として泥炭(でいたん)=ピートが用いられる。ピートは水分や不純物が多く発熱量は小さいが、比較的長く燃える。発電や製鉄には不向きでも麦芽を燻すにはちょうどよかったのであろう。
かくしてピートの煙からウイスキーに移った香り"ピート香"はウイスキーの代表的な特徴の一つとされ、権威ある品評会WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)でも当然大切な評価項目として扱われるのである。
一方わがアパートの隣地には大家さんが住んでいて、今日も庭の大振りな焼却炉で燃えるゴミを燃やしていた。昨日サーフィンの後すぐに洗ったワタクシのバスタオルはまたしても、力強いクセのあるスモーキーフレーバーに仕上がっている。